障子目蔵(しょうじめぞう)テンタコル【ヒロアカキャラ解説】
ヒーロー名は触手ヒーロー「テンタコル」。身長187センチ、血液型はB型。雄英高校ヒーロー科1年A組。
銀色のリーゼントヘア、鋭い目つき、口元を覆うフェイスマスクが特徴。
1年A組で一番背が高く、その大柄な体格とわかりにくい表情が相まって、かなり威圧的な雰囲気を醸し出している。
個性がそのまま体に反映される「異形型」と呼ばれるタイプの「個性」の持ち主だ。彼の場合、両肩から腕とは異なる2対の触手が並んでいる。腕と2本の触手は膜でつながっており、触手には関節がないため、かなり柔軟に動かせるようだ。
基本的に袖のある服を着ることができないため、学生服や体操服はすべてノースリーブに改造されている。
ヒーローコスチュームはマスクとスーツを組み合わせたもので、胴体にはタコやイカの吸盤を思わせる6つのマークが並んでいる。
常につけているマスクは口元の傷を隠すためのもので、作中で社会問題になっている「異形への差別」を象徴している。
性格
口数の少ない寡黙な少年。
緑谷や爆豪と同じ高校1年生だが、性格は年齢の割に大人びており、常に冷静沈着。
ヴィランとの戦いでも冷静沈着で、クラスメイトがピンチに陥ると、身を挺して守るなど、心優しく自己犠牲的な一面も見せる。
無欲で気取らないため、クラスで率先して行動することは少ないが、大事な場面では周囲に流されることなく、明確な目的と理由を持って行動する。
林間合宿でのヴィラン連合の襲撃では、「個性」に囚われていた常闇の救出を最優先した。誘拐された爆豪を助けに行くかどうかでクラスメイトが言い争うシーンでは、感情的になっていた飯田と切島の間に割って入り、「これは感情で動いていい問題じゃない」と周囲を諌めた。
ハイツアライアンスのお部屋披露大会では、机と布団をたたんだだけの部屋を披露した。
子供の頃から物欲があまりなかったらしいが、峰田は「こういうのに限ってドスケべなんだぜ」と言われている。
普段の寡黙さとは対照的に、意外と気さくでフランクな一面もあり、仲の良い人の前ではノリの良い態度を見せることもある。
雄英体育祭の騎馬戦では、峰田が考案した作戦に便乗し、峰田と蛙吹を背負って変形ロボットのように戦うという奇抜な戦術をとった。
実際、ヒーローネームの「テンタコル」は肩から生える「触手」を意味し、タコのような腕というジョークも含まれており、その性格もうかがえる。
個性
彼の “個性 “は “複製腕 “である。
肩から生えている2対の触手の先端から、目、耳、腕など自分の体の器官を複製することができる。
一箇所から複数の臓器を複製することも可能だが、複製する臓器の数が増えるほど操作性は低下する。
複製した臓器は元の臓器に比べて機能が強化されており、入学当初の戦闘訓練では、複製した耳を使って、訓練相手の尾白と葉隠の建物内での位置関係だけでなく、葉隠の素足も足音で察知することができた。
純粋な腕力も強く、学園での初期身体測定では左腕3本で握力540kgというゴリラ並みの記録を打ち立てた。
アニメ版では、複製した腕から生えた口で話すことが多いが、複製した口の声は本人よりややハスキー。
林間合宿の個性伸ばし訓練では、複製速度の強化や複数の複製を同時に操る調整など、「複製速度の強化と索敵能力の向上」を目指した訓練を行っている。
その外見とは裏腹にスパイ活動や索敵も得意としており、直接戦闘よりも接近戦で複数の戦闘員をサポートする姿が描かれることが多い。特にアニメ版ではそれが強調されている。
ただし、索敵能力の強化に多くの時間を割いているため、直接戦闘では戦闘重視の「個人主義者」に一歩遅れをとる場面が多いようだ。
最終決戦では、AFOによって戦闘重視の「個性派」を与えられたスピナーと交戦した際、強烈な一撃で大ダメージを与えることには成功したが、スピナーの動きを完全に止めることはできなかった。
必殺技
* オクトサーチャー
目や耳などを複製展開してサーチする。
* オクトブロー
左右から多数の腕を複製し、合計20本以上の腕で攻撃する。一見、攻撃のみの技に見えるが、B組との実戦練習では、背後からの奇襲に目を背中側に複製することで対応し、角取との真っ向勝負に勝利した。
* オクトスパンション。
複製した腕を束ねて思い切りパンチを繰り出す大技。
* 触手パンチ。
アーケードゲームのカードとして登場。片腕を複製し、3つの拳で同時にパンチを繰り出す。握力540kgの剛腕で殴りかかる、シンプルだが普通に怖い技。
過去
『嫌なことは山程あったし、忘れることはない。』
『でも、嫌な思い出を数えるより』
『たった一つでも、この姿で良かった思い出に縋りたいんだ―――』
都会育ちの常闇や口田と違い、彼は都会から遠く離れた田舎の村で生まれ育った。
長い超人社会の歴史の中で、奇形の人々への差別をなくす活動が続けられ、その結果、緑谷の世代では異形児と非異形児が当たり前のように共存している。
しかし、それは人々の移り変わりが激しい都市部だけの話であり、社会の動きが鈍い地方では、いまだに異形の人々への差別が根強く残っている地域もある。
庄司の両親は複製腕はなく、彼自身が「個性的」であるがゆえに、閉鎖的な村では幼い頃から過酷な差別を受けてきた。
庄司の性格が周囲より大人びて見えるのは、単に早熟だったからではなく、困難な幼少期に成長を余儀なくされたからかもしれない。
少年時代のある日、庄司は大雨で氾濫した川で溺れていた少女を偶然助けた。
少女は庄司の優しさに感謝したが、その後、穢れた体で子供に触れたという理由で村の大人たちからリンチを受ける。マスクの下の口元の傷はその時に負ったもの。
庄司に助けられた少女は、庄司が傷つけられたことにひどく傷つき、その事件以来、庄司は口元を覆うマスクをするようになった。
個性で人の命を救ったこの経験は、彼がプロのヒーローになる大きなきっかけとなったが、口元の不自然な傷跡は、たとえ望まぬものであっても、異形の者に対する暴力や差別を想起させる。
だからこそ彼はマスクをかぶるのであり、それは自分を傷つけた者を「復讐者」として断罪するのではなく、誰よりもかっこいいヒーローでありたい、未来に希望を与えたいという彼自身の強い理想の現れであると語られている。
活躍
緑谷や麗日たちと同じ会場で受験。平和を守るために必要な基本的能力のひとつである「情報力」を買われたのだ。
最初の戦闘訓練では轟とペアを組み、その個性を活かして相手チームの状況を的確に判断したが、轟の強烈な個性により戦闘には参加しなかった。
USJ襲撃時には、13号先生の指示のもと、麗日と協力して飯田に助けを呼ばせた。
雄英体育祭では、第1種目の障害物競走で14位、2種目の騎馬戦では峰田、蛙吹と組んで敗退。続くレクリエーションでは、口田と大玉転がしを行った。
最終試験では葉隠とともにスナイプ先生に挑む。原作では詳細は描かれていないが、かくれんぼでなんとか出口まで逃げ切った様子。
アニメ版ではもう少し詳しく描かれている。スナイプ先生が長距離攻撃を続ける間、2人は出口近くの柱の陰に隠れていた。発煙筒で視界を奪われたものの、服を脱いだ葉隠の意図を鋭くつかみ、先生の銃撃を引き付ける囮役に徹した。そして、先生の背後から近づいてきた葉隠に手錠をかけ、作戦は完了した。
林間合宿襲撃の際には、個性発動の連続で器官そのものを鍛え上げた。
肝試しでは常闇とペアを組むが、指定されたルートの途中で敵連合の襲撃を知らされ、警戒態勢に入る。個性を活かしてムーンフィッシュの攻撃を察知し、複製された腕を切断されながらも常闇を庇って離脱する。しかし、攻撃の衝撃に耐え切れず暴走する常闇を落ち着かせようと奮闘する。途中、緑谷に会って事情を説明し、緑谷を背負いながら攻撃を避け続ける。
緑谷が爆豪救出に動いていることを知り、自分を囮にして緑谷を逃がすことを提案する。しかし、緑谷の意見を採用し、複製された腕を伸ばして常闇を引き寄せ、爆豪、轟と合流、常闇を鎮めることに成功する。
その後、4人は協力して爆豪を施設に送り届けようとする。施設に向かう途中、麗日や蛙吹と合流するが、いつの間にかミスター・コンプレスに常闇と爆豪を奪われていた。
彼らを追跡するため、緑谷、轟とともに、麗日、蛙吹の助けを借りて高速飛行。ミスター・コンプレスと墜落し、開闢行動隊と交戦。ミスター・コンプレスのポケットから圧縮された球体を取り出すが、それは偽物だった。黒霧がワープしたため、2人は逃げられそうになるが、青山のレーザーで本物の球体が暴かれ、3本の腕のうちの1本で球体を回収するが、爆豪は連れ去られてしまう。
後日、緑谷の病室を見舞いに来た二人は、クラスメイトとともに重傷を負っていた。轟と切島が爆豪救出を画策していることを知った彼は、何もできない切島の悔しさ、目の前で奪われた轟の悔しさを理解した上で、「感情で動いていい問題じゃない」と二人を止めようとする。
ヒーロー仮免試験1次試験、開始早々、傑物学園高校の攻撃で1年A組全員がズタズタにされた。その後、蛙吹、耳郎、八百万が加わり、1次試験を突破することができた。アニメ版では聖愛学院の印照才子の襲撃を受ける。
二次試験では、その個性を活かして怪我人の居場所を察知したり、一人で数人を運んだりと救助活動を続け、見事ヒーローの仮免許を取得する。
雄英文化祭では、ダンスチームとして参加し、6本の腕を駆使して、ダンスだけでなくコーラスの指揮をとる役割も果たす。
A組B組の合同練習では、第3試合に登場。出場者は、A組が飯田、庄司、轟、尾白、B組が角取、骨抜、回原、鉄哲。終始角取とバトルを繰り広げ、残り1人になったところで、B組の圧倒的不利を察知した角取が負けないための一手(タイムアップまで退く)を繰り出し、第3試合は引き分けに終わった。
「タコが苦手」という趣旨のコメントに対し、「怖がられるのは慣れている」と冷静に応戦。
冬のインターンシップでは、耳郎とともにギャング・オルカの下で働き、『索敵強化』を学んだ。
友情
入学当初は、特定の人との交流が少なかった。個性把握テストでは、瀬呂と峰田に話しかけられても無反応だった。最初の演習では轟とペアを組んだが、一瞬で演習が終わってしまったため、轟とはあまり交流がなかった。合宿では時留を「友達」と呼び、仲が良いようだ。
余談。
* 雄英高校の制服をノースリーブに改造しているが、不良ではない。自分の体に合わせて服を仕立てるのは、超人社会では常識のようだ。
* 単行本第3巻の幕間の登場人物紹介で、作者は “彼のエピソードを描きたいが、いつになることやら…… “とコメントしている。作者は物語の序盤である程度キャラクターを確立していたようだ。
名台詞/名言
『俺はどんな状況下であろうと苦しむ友を捨て置く人間にはなりたくない』