コンセンサスとは?言い換えや使い方。コンセンサスを「得る」と「取る」の違いは?
コンセンサスとは「合意」を意味する英単語です。日本のビジネスシーンでは、主にチーム内や組織間など、複数の関係者の合意や同意のことを指し、状況によっては共通認識という意味で使われることもあります。
また、医療、株式投資、政治、研修など、場面によっては特定の意味を持つこともあり、使われる状況に応じて判断する必要があります。
コンセンサスをどう言い換える?
コンセンサスは次のように言い換えることができます。
意見の一致
合意
同意
総意
合意形成のプロセスと似たニュアンスを持つ言葉としては、「共通理解」「共通認識」「意識の共有」などがあります。合意形成のための準備という意味が強い場合は、代わりに「根回し」という言葉を使うこともできます。
また、コンセンサスと混同されがちな言葉に「アグリーメント」があります。アグリーメントは個々の合意を示す言葉であり、複数の合意を意味する「コンセンサス」とは区別して使われます。
「コンセンサスを取る」の意味と使い方
「コンセンサスを取る」がビジネスシーンで使われる場合、事前の合意という意味も含まれています。その意味と例文を説明します。
主な意味は「認識」と「意識」。
この場合の「コンセンサス」とは、「全員一致の認識」や「共通認識」を意味します。つまり、ある事柄について「相手が正しく認識しているかどうか」を確認することです。平たく言えば、「意見を聞く」「合意を得る」ということになります。
したがって、まずは意見を集約し、理解を深めることで、全員が同じ方向に進むための合意形成のプロセスを指すと言えます。
「コンセンサスを取る」を使った例文
コンセンサスを取るとは、特定の領域内で共通理解を得るために行う活動を指します。例えば、以下のような例文があります。
* 新しいプロジェクトでチーム内のコンセンサスを取る。
* 会議の前に関係者のコンセンサスを取る。
* 事前に課長のコンセンサスを取る。
「事前交渉」「事前了解」「根回し」といった意味で使われ、話し合いや再確認をすることでプロジェクトを円滑に進めることが可能になります。
コンセンサスを得るの意味と使い方
「コンセンサスを得る」という表現は、「コンセンサスを取る」という表現よりも強い意味を持っています。
主な意味は、「同意」や「合意」です。
「コンセンサスを得る」という表現は、複数のチーム、メンバー、企業などの関係者の合意、総意、総意を得ることを指します。
この場合の「コンセンサス」は、合意形成が完了した状態を示す言葉であり、「コンセンサスを取る」のような認識の共有という意味は含みません。
コンセンサスは複数の主体が合意している状態を指すため、個人に対して使用する場合は「合意」または「同意」という言葉を使用するのが適切です。
「コンセンサスを得る」を使った例文
「コンセンサスを得る」は、対象者全員の「総意」を得る場合に使います。例えば、次のような例文があります。
* 私たちはチームのコンセンサスを得た。
* 我々は会議でコンセンサスを得た。
上記の例文では、チームメンバー全員、あるいは会議出席者全員のコンセンサスが得られたことを意味します。「住民のコンセンサスを得た」の場合は、対象者を広く限定することなく、世論が形成され、コンセンサスが得られたことを意味します。
ビジネスシーンでの「コンセンサス」の使い方
ビジネスシーンで「コンセンサス」という言葉を使う場合、シーンによって微妙にニュアンスが異なるので注意が必要です。この言葉には大きく分けて2つの使い方があります。 「コンセンサスを取る」と「コンセンサスを得る」です。
複数の関係者の合意やコンセンサスを得ることを意味する場合
チームメンバーや相手組織の合意を得たか否かを表現するときに使う。使用例は以下の通り。
* B社の関係部署からコンセンサスを得ている。
* チームメンバーのコンセンサスを得た。
この場合、コンセンサスとは、あくまでも合意、同意という意味であり、コンセンサスが得られれば、次のステップである実際の行動に移れます。
事前の根回しや交渉という意味の場合
相手の同意を得るために、事前に根回しや交渉を行うという意味でも使われる。使用例は以下の通り。
* 事前に関係機関のコンセンサスを取る。
* コンセンサスが取れず、会議が散会となった。
日本のビジネス環境では、直接的な議論や討論を嫌う傾向があります。そのため、会議や議論を円滑に進めるために、それぞれの立場や意見を理解し、最終的な合意を得るための準備としてコンセンサスが取ることは重要です。
全員一致の意味で使われる場合
一人でも合意しない人がいると成立しない会議を「コンセンサス方式」といいます。全会一致で進めることが重要な場合に用いられる方法で、この場合のコンセンサスとは「全員一致で結論を出すこと」を意味します。
総意を得るとは、「全員が納得するまで話し合いを続ける」ということなので、結論が出るまでに膨大な時間がかかることもある。コンセンサス方式を採用する場合は、特に事前の情報共有を慎重に進めることが重要になります。
コンセンサスを得るコツ
意見が分かれる中で、コンセンサスを得るためには工夫が必要です。合意形成のコツをいくつか挙げてみます。
* 批判を恐れずにアイデアを発表する
* 率直に意見を交換する
* 解決策を考える
(1)批判を恐れずにアイデアを提示する
コンセンサスを得るためには、批判を恐れず具体的な案を提示し、多くの人に意見を求めることが重要です。
全員の合意を得るためには、より具体的で論理的な提案でなければなりません。抽象的な提案でコンセンサスを得ても、実際に作業が始まると「イメージと違う」と感じることがあるからです。
このとき、合意形成のプロセスを「ラフ案のブラッシュアップ」と捉えれば、アイデア創出へのモチベーションを高く維持することが可能になります。
(2)フランクな意見交換
合意した結果に不満を持たないためには、自分の意見を述べることが重要です。有無を言わさず決めてしまったり、空気を読んで合意してしまったりすると、相手の納得感を下げてしまいます。
合意形成会議では、意見を言いやすい雰囲気づくりや方法を採用し、それぞれの考えを尊重しながら納得できるポイントを探ることが重要です。
(3)解決策の検討
批判的な意見が出た場合、それを放置せずに集約・整理することが重要です。意見を分類し、改善できるものは反映し、反映できないものはその理由を明確にする。
また、上記の解決策を合意形成メンバーにフィードバックすることで、理解を深めることができる。
ビジネスシーン以外で使われる「コンセンサス」
「コンセンサス」はビジネスシーン以外でもよく使われる表現です。ここでは、医療や金融などの専門分野で使われる場合の意味を解説します。
コンセンサスゲーム
複数人でチームを組み、与えられた課題について議論し、チームの意見をまとめるゲーム。コミュニケーション能力やチームリーダーの育成を目的とした企業研修などでも用いられる。
有名なコンセンサス・ゲームに「NASAゲーム」があります。これは、ある惑星に不時着したロケットから母船に向かう宇宙飛行士になりきって、15個の持ち物の重要度を決めるゲームです。
市場コンセンサス
市場コンセンサスとは、アナリストグループが独自の調査・分析に基づいて予測した平均値のことです。具体的には、証券会社や証券アナリストによる利益予想、配当予想、格付け予想などの平均値であり、株式売買や証券取引に利用されます。
この平均値を出すプロセスを「コンセンサス予想」あるいは「コンセンサス調査」と呼びます。新興企業自身が発表する業績予想は低いことが多いため、複数のアナリストによる以下のような市場コンセンサス予想が参考指標として有用なのです。
コンセンサス・アルゴリズム
暗号資産の基盤技術である「ブロックチェーン」に取引データを格納するブロックを追加する際に、合意形成を行うアルゴリズム(計算方法・手順)のこと。「合意形成」ともいいます。
ブロックチェーンでは、取引データを格納したブロックをチェーンの末端につなげることで、暗号資産の取引が確定します。ブロックの生成過程でデータの真正性を検証するためにアルゴリズムが用いられています。使用されるコンセンサス・アルゴリズムは暗号資産ごとに異なります。
医学的コンセンサス
医療分野で使用される用語で、専門家が常に更新される医療情報について議論し、ある時点で最も適切なもの、または合意され公表されたものについて合意するプロセスを指します。
このため、診断法や治療計画、診療ガイドラインの作成など、医学のあらゆる分野において、医学的コンセンサスは重要な役割を果たしています。
コンセンサスと間違えやすい言葉
コンセンサスと間違えやすい言葉に「オーソライズ」と「アグリーメント」などがある。それぞれの意味を以下に説明します。
オーソライズ
オーソライズ(Authorize)とは、「認可する」「承認する」という意味です。一定の範囲内での合意であるコンセンサスに比べ、オーソライズとは、企業間や業界間に限らず、社会的に認知された地位や権限を指します。
例えば、「オーソライズド・ジェネリック」は、先発医薬品メーカーからオーソライズされたジェネリック医薬品を指す。
アグリーメント
「同意」「賛同」を意味する英単語。ビジネスシーンでは、個人の合意や賛同を指す。アグリーメントは個人の同意を指すため、複数人の合意であるコンセンサスとは異なる場面で使われます。
また、アグリーメントの場合は同意の意思が重要であるのに対し、コンセンサスは同意まではいかなくても合意がある場合に使われます。